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 ■主な研究


  1.酸化ウランの熱伝導率(MD)
  2.機能性カラーフィルムの分子設計(MC, MD)
  3.アルカリケイ酸塩ガラスの構造とダイナミクス(MD)
  4.(電気)メッキの分子シミュレーション(MC, MD)
  5. NiAl合金のマルテンサイト変態(MD)
  6.高分子動的誘電特性(MD)
  7.高分子・分子集合体の自由エネルギーの計算法と超高速専用計算デバイスの開発
  8. 高分子会合(秩序)・解離(無秩序)の分子論的研究
  9.分子シミュレーションにおける並列計算技法の開発と応用
  10.ギガビットネットワークを利用した広域仮想シミュレーション工場の提案



1.酸化ウランの熱伝導率(MD)

 核燃料ペレットとして用いられる酸化ウランやMOXの熱伝導率の測定は困難であり、観測値は数桁のバラつきがある。このような困難な状況下で分子動力学(MD)の手法による熱伝導率の計算方法の確立に大きな期待が寄せられるのは必然である。しかしながら、熱伝導率等の輸送係数の計算は、比熱等と同様系の熱平衡状態のゆらぎに基因した物理量であり、基本的には系の非平衡状態を取り扱う問題であるので、ことは簡単でない。

 本研究ではMDの計算上擬似的な非平衡状態を実現させ、上記の問題を回避し、効率よく熱伝導率を計算することに成功したものである。(終了)




2.機能性カラーフィルムの分子設計(MC, MD)

 本研究は、何度でも記録したり消去したりすることが可能なカラーフィルムの分子設計の基本形を探査することを目的としたものである。この系は比較的堅い棒状の高分子と染料の分子からなる二成分系からなるが、染料は発光のメカニズムには欠かせない重要な要素であるものの、系全体の構造及びダイナミックスを決定する上ではむしろマイナーな役割を行うことに過ぎない(という仮定の元で計算を実行)。

 棒状の高分子の頭部分とそれ以外の部分とは異なる原子群からなり、従ってこれらの相互作用の相違が系の秩序と無秩序構造を支配する重要なパラメーターとなることが分かる。本研究ではこれらの相互作用の大小により生ずる系の秩序構造及びそれに至るダイナミクス等について詳細に考察したが、これはカラーフィルム開発の為の分子設計に重要な指針を与える。(終了)





CR(Color Rewritable)フィルムの分子動力学シミュレーション
3.アルカリケイ酸塩ガラスの構造とダイナミクス(MD)

 Li2SiO3のガラス状態では、LiイオンはSiO4のユニットからなるネットワーク構造の中をかなり自由に拡散運動をすることができるが、この運動の形態は通常のブラウン運動とは大きく異なることが分かる。又Li原子の半分の個数をK原子に置換することにより(つまりLiKSiO3)アルカリイオンの拡散は大きく低下する(混合アルカリ効果という)。本研究は分子動力学の方法によりこれらの原因を探る。

 ここに取り上げた異常拡散現象はガラス状態におけるイオン(原子)の拡散運動に共通する問題であり、ガラス転移温度を決定する問題とも絡んでいてガラス状態一般の重要なテーマである。本研究は継続して行っている。





メタケイ酸リチウムガラスのLiイオンの2体分布関数
4.(電気)メッキの分子シミュレーション(MC, MD)

 電気メッキの分子レベルの考察はほとんど解明されていない。メッキは古くからある技術ではあるが、これ迄のメッキ技術はmm, μm以下のサイズで要求されることは稀であり、むしろ可視サイズが標準であったと言える。しかしながら最近の半導体の基盤設計に必要とされるメッキの技術では〜100nmあるいはそれ以下のサイズが使用される。このようなサイズ下でのメッキ技術は未だほとんど未知の世界であり、実用上も大きな問題点をかかえている。これらの問題を解決する最も有力(唯一?)な方法に分子シミュレーションがある。nmサイズでは拡散方程式のような連続媒質中の運動方程式はもはや成り立たないと考えると、メッキ表面を構成する金属、金属イオン、溶媒分子、水分子等をすべて粒子として取り扱う解析方法が余儀なくされる。

 本研究ではメッキ表面の金属イオンの化学反応をモンテカルロ(MC)法を用いて確率的に取り扱う。この粗視化モデルを用いることにより計算時間が大幅に短縮化される。nmサイズにおいては実際のメッキでは添加剤(抑制剤や促進剤)を用いるが、分子シミュレーションに於いても添加剤に相当する余分の分子を挿入することにより実験系との相似を行うことが可能である

 MC法以外にも分子動力学シミュレーション(MD)法によりメッキ表面上のダイナミックスを考察中である。





メッキの分子シミュレーション
5. NiAl合金のマルテンサイト変態(MD)

 合金の相変態は極めて多様性を示す。多成分系合金はもとより、二成分系合金においても同様である。合金系の特長は構成する金属原子の電子的性質を如何に正確に(効率よく)取り入れるかにかかわっている。最近の研究ではシュレーディンガー方程式を第一原理的に解く手法がしばしば用いられるが、この手法の欠点は計算時間が極端に長くなり、限られた現実系にしか適用できないことにある。

 本研究は合金のマルテンサイト変態に焦点を当てたものであるが、この種の問題に第一原理的計算手法を適用するのには未だ時期尚早である。これに代って金属・合金系の電子状態を効率よく取り入れた方法にEAMがあり、ここではEAMを拡張したMEAMを用いて形状記憶合金としてよく知られたNiAl合金のマルテンサイト変態を考察した。パラメータチューニングを行うことから、実験とほぼ一致する良好な結果を得た。従来のこの種の計算(マルテンサイト変態)には、自由表面を有するナノサイズの合金を用いて行ったものはあるが、周期境界条件を用い、バルク下での実験に対応した計算は初めてである。現在更に他の合金系にも拡張して研究を行っている。





NiAl合金のマルテンサイト変態の分子動力学
6.高分子動的誘電特性(MD)

 次世代の通信機器の開発目標として数百ギガヘルツ帯からテラヘルツ帯の周波数に使用できる製品開発が注目されている。これが可能になれば通信量の飛躍的な増大をはかることができ携帯電話などの性能が飛躍的に向上する。本研究ではこれらの目的に適う高分子誘電材料の分子デザインを分子動力学シミュレーションの方法により考察したものである。物質の誘電率に関して言えば、分子の分極(電気双局子モーメント)が鍵となる。高分子材料の場合は分子内の分極と分子間分極と区別できるが、中でも前者の分布(構造)は我々の関心のある周波数帯の誘電特性に最重要である。本研究ではこのような分子内分極のみを考慮し、分子間分極は無視して、電気双局子モーメントの自己相関関数のパワースペクトラムから誘電特性を求めた。本研究は継続して行っている。



1.〜6.分子シミュレーションの産業への応用について(7社と個別に産学連携共同研究を実施)
  名称:奨学寄付金(7社)
  期間:平成2年〜





PPO(高分子誘電体)の分子シミュレーションモデル








7.高分子・分子集合体の自由エネルギーの計算法と超高速専用計算デバイスの開発

  名称:旧通産省(NEDO)
  期間:平成8年〜平成10年

 本研究は、平成8年度〜10年度の3ヶ年の間NEDO提案型課題研究に採択され実施したものである。研究の主目標は、分子系の構造転移の研究において実験に直接観測される熱力学諸量の中でも自由エネルギーは最も重要な物理量である。しかるに理論および計算で自由エネルギーを正確に求めることはエネルギーなどの量に比してもはなはだ困難な課題の一つである。我々は本研究においてクーロン相互作用を含む高分子系の自由エネルギー計算を効率かつ精度良く計算する計算アルゴリズムおよび計算システム(専用並列計算システム)を開発した。本計算システムにより、安価でしかも数万原子系においてナノ秒程度の規模の分子動力学シミュレーションが可能である。





NEDO研究開発終了報告書より転載
8. 高分子会合(秩序)・解離(無秩序)の分子論的研究

  名称:旧科学技術庁(JST)
  期間:平成10年〜平成13年

 NEDO支援研究で得られた成果を発展させ、高分子会合(秩序化)・解離(無秩序化)の分子レベルの機構解明を目指した本研究は、JST(科学技術振興事業財団)計算機活用提案型課題研究として採択され、平成10年10月〜13年9月迄の3ヶ年間研究を行ったものである。本プロジェクト研究は、会合・解離の分子理論的考察を始め、分子シミュレーションによる会合模擬実験を通して分子レベルの会合に関する新しい知見(例えば疎水的会合などの分子論)や種々の高分子系(蛋白質など)の構造変化(会合・解離)の特質を相互作用の型およびその大きさにより解明を試みたものである。これにより分子設計への道標を期待するものである。





JST研究開発終了発表会(平成14年3月)資料より
9.分子シミュレーションにおける並列計算技法の開発と応用

  名称:日本原子力研究所
  期間:平成10年〜平成12年

 本研究により、古典粒子系の分子動力学シミュレーション・コードの並列化および電子系タイトバインディングモデルの並列化計算コードの開発研究ななどを行なった。また、これらの分子動力学シミュレーション・コードを興味ある物理・化学系に適用を試みた。




10.ギガビットネットワークを利用した広域仮想シミュレーション工場の提案

  名称:通信・放送機構
  期間:平成12年〜平成14年

 仮想シミュレーションラボの基盤構築のためネットワーク接続の基礎実験およびヒューマンインターフェイス・立体可視化表現法の基礎技術開発を行なった。分担者として必要な研究情報収集、シミュレーション・コードのモジュール化、および仮想空間における立体可視化の開発に参画した。