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2.13 TACCELEの機能

二つの分子をある軸に沿って加速させて衝突させるシミュレーションを 行うとき、加速させることを指示するフラグである。 フラグTACCELEを入力ファイルcpv05.inで読み込んで、 フラグが.true.の時には、ファイルaccele.datから必要なデータを サブルーチンinit1で読み込む。このとき加速する速度の大きさVELMAXと 等加速度の大きさACC0の値を計算する。 原子の加速度の方向ベクトルの大きさは、入力後規格化されるので気にする 必要はない。 入力例は、以下のようである。 (sample.dat.shファイルのaccele.datの部分を書き換える。 下記の第1例では、400ステップで鉄ダイマーが300Kの速度に(111)方向に 加速する場合の数値を示した。 第2例では、ホルムアルデヒドCH$_{2}$Oと孤立(ラジカル)OH分子が$z$軸に 沿って衝突させる例である。)

第1例
  400 300.                      NACCELE,TEMPAC
  1.0 1.0 1.0                   ACCVEC(I,1,1)
  1  4                                   IS,NA
  1
  1
 -1
 -1

第2例
  100 300.                      NACCELE,TEMPAC
  0.0 0.0 1.0                   ACCVEC(I,1,1)
  1  1                          IS,NA        <---- 炭素原子
  1                             IACC(I,1,1)
  2  3                          IS,NA        <---- 水素原子
  1
  1
 -1
  3  2                          IS,NA        <---- 酸素原子
  1
 -1

kステップ目で衝突させる分子の並進の自由度から来る温度が$T$になるように するには、 衝突エネルギー $E_{\rm coli}=\frac{1}{2} g k_{\rm B} T$(g=6) とすると、加速後の第1分子の速度VELMAXと加速度ACC0

$\displaystyle {\rm VELMAX}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{1}{M_{1}} \sqrt{\frac{2 M_{1} M_{2}}{M_{1} + M_{2}}
E_{\rm coli}}   [{\rm a.u}]$ (11)
$\displaystyle {\rm ACC0}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{{\rm VELMAX}}
{k \times \Delta t[{\rm a.u}]}   [{\rm a.u}]$ (12)

と計算する。ここで、$M_{1}$$M_{2}$は加速する2つの分子の質量である。 VELMAXACC0は、標準出力ファイルへ出力される。 VELMAX中の3の因子は、分子の並進の自由度が3であることから来る因子 である。ここで設定した温度が、MDの出力で得られる温度とは異なることに 注意する必要がある。MDの出力で得られる温度は、通常、 3$N$($N$は原子数)の自由度を想定して温度換算を行っているからである。 フラグが.true.の時には、最初のMDステップから等加速度ACC0の 運動が開始される。IACCは、各原子の加速向きを上で与えたベクトルの 方向ACCVEC(I,1,1)に対して正または負の向きを指示する値である。 (第1番目の種類の第1番目の原子が含まれる分子(第1分子)を1として、 第2分子に含まれる原子を-1にしておく。) 第1番目の種類の第1番目の原子の加速度方向の速度の大きさが、VELMAXを 越えると加速度は、ゼロとされ分子の加速が終了する。


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Copyright (C), Tatsuki Oda (oda@cphys.s.kanazawa-u.ac.jp, Kanazawa University)