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10.3 磁気異方性エネルギーの計算

原子位置は、固定されているもとでの異方性エネルギーの簡単な計算手順を 示す。

(1)
ノンコリニアー磁性(NSPIN=4)で、電子系の収束を行う。 ex_opte.shを用いて電子系の収束を行うことができる。 収束後、res.ele.001, wfs.ele.001などの出力ファイルが できていることを確認する。
(2)
収束した結晶の磁気モーメント(res.ele.001から読む)を、 sample.dat.sh内のspnrot.datデータに設定する。 spnrot.datは、1行目だけが読まれるが、 KROTに4を設定し、sxx, syy, szzにスピンを固定する 方向を指定する。
(3)
exlist.shに、ex_optemore1.shなどを設定し、 ex_optemore1.sh内のtspnsetを設定する。 系が小さいときは、tspnm(表2参照)とtorbm (表2参照)を設定しておくとよい。 前者は、スピン軌道磁気モーメント、後者は、軌道磁気モーメントを計算する スイッチであり、最後のステップで計算を行う。だだし、後者は、計算に非常に 時間がかかるため、大きな系では計算が終らない可能性があるので注意する。 電子系の収束を行う。電子系が収束したときに、磁気モーメントの向きが 設定した向きとほぼ同じならば、そのときにエネルギーをその磁気モーメントの ときのエネルギーとする。波動関数と出力ファイル(screen)が作られる ので、次の計算で上書きされないようにそれらの名前を変更しておく。
(4)
つぎに、別の向きの磁気モーメントのエネルギーを求める。 最初に計算してあったwfs.ele.001を所定のディレクトリにコピーして、 sample.dat.sh内のspnrot.datデータの、 sxx, syy, szzを別の向きに変更する。ex_optemore1.shを 用いて電子系の収束を行い、エネルギーを求める。波動関数と出力ファイルの 名前を変更しておく。
(5)
2つの異なった磁気モーメントの向きの系の全エネルギーの差 から磁気異方性エネルギーを算出する。
(6)
さらに別の磁気モーメントの方向を計算するには、(4)に戻って 作業を行う。
(7)
磁気異方性は、k点数などにより大きく変化する可能性があるので k点に対する収束を確認する。


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Copyright (C), Tatsuki Oda (oda@cphys.s.kanazawa-u.ac.jp, Kanazawa University)