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3.4.4 JESM

ESM(Effective Screened Medium)法を用いた電場の印加を 可能にするスイッチ。電場が印加される方向は、$z$軸方向で、$xy$面内には 周期境界条件が用いられる。JESMにゼロでない値を指定すると ファイルesm.datを読みにゆく。

JESM=0
ESM法を用いず。通常の 3次元周期境界条件で計算する。
JESM=1
真空($-z$)/スラブ/真空($+z$)の空間配置で 仮想境界$z=z_{1}$$z=z_{2}$に対して、 $z_{1}=c/2, z_{2}=-c/2$が採用される。ポテンシャルの 周期境界$z=z_{0}$$z=-z_{0}$に対して$z_{0}=c/2$が 採用される。 電子数を中性(QBAC=0.0)に保たなければならない。
JESM=2
完全導体($-z$)/スラブ/完全導体($+z$)の空間配置で 境界$z=z_{1}$ $z=z_{2}=-z_{1}$に対して、 ポテンシャル値 $V(z=z_{1}), V(z=-z_{1})$VESMP, VESMM にそれぞれ指定する。電子数を中性(QBAC=0.0)から ずらすことが可能であり、帯電した系を計算することができる。 帯電した電荷を補償する電荷が完全導体の表面に現れる。
JESM=3
真空($-z$)/スラブ/完全導体($+z$)の空間配置で 境界$z=z_{1}$と仮想境界$z=z_{2}$として、 Z1ESM, Z2ESMで指定した値が使われる。 ポテンシャルの原点は、境界$z=z_{1}$でのポテンシャル値を ゼロとすることで与えられている。 電子数を中性(QBAC=0.0)からずらすことが可能であり、 帯電した系を計算することができる。 帯電した電荷を補償する電荷が$z=z_{1}$の完全導体表面に 現れる。
JESM=4
完全導体($-z$)/スラブ/真空($+z$)の空間配置(JESM=3と 逆の配置)で仮想境界$z=z_{1}$と境界$z=z_{2}$として、 Z1ESM, Z2ESMで指定した値が使われる。 ポテンシャルの原点は、境界$z=z_{2}$でのポテンシャル値を ゼロとすることで与えられている。 電子数を中性(QBAC=0.0)からずらすことが可能であり、 帯電した系を計算することができる。 帯電した電荷を補償する電荷が$z=z_{2}$の完全導体表面に 現れる。
JESM=5
真空($-z$)/スラブ/真空($+z$)の空間配置で 仮想境界$z=z_{1}$(Z1ESM)と$z=z_{2}$(-Z1ESM) での電場EESMP, EESMMを与える。 電子数を中性(QBAC=0.0)に保たなければならない。
JESM=6
完全導体($-z$)/スラブ/完全導体($+z$)の空間配置で 仮想境界$z=z_{1}$(Z1ESM)でのポテンシャル値を VESMPで与え、$z=z_{2}$(-Z1ESM)での 電場をEESMMで与える。 電子数を中性(QBAC=0.0)からずらすことが可能であり、 帯電した系を計算することができる。
JESM=7
JESM=6の場合の電場とポテンシャルの役割を入れ替えた場合 である。完全導体($-z$)/スラブ/完全導体($+z$)の空間配置で 仮想境界$z=z_{1}$(Z1ESM)での電場を EESMPで与え、$z=z_{2}$(-Z1ESM)での ポテンシャル値をVESMMで与える。 電子数を中性(QBAC=0.0)からずらすことが可能であり、 帯電した系を計算することができる。
JESM=10
JESM=0と同じ結果を与える計算をESM法を用いて 計算する。したがって、 電子数を中性(QBAC=0.0)に保たなければならない。

ファイルesm.datの入力形式 (白金(111)面の3原子層の例)
原子がz座標の負の領域に置かれているので、tresmの指定値が 負になっている。

cat > ${tmpdir}/esm.dat << end
0      -5.42169     jtresm tresm
15.0  -15.0         z1esm z2esm
0.000   0.000       vesmp vesmm
0.000   0.000       eesmp eesmm
end

jtesm,tresm
ESM(Effective Screened Medium)法を用いるときに 2つの電極の位置を適切な位置に置くために用いる。 sample.dat.shに入力する原子座標で、電極表面 の中心位置をどこに置くかを指定する。系の中心付近を 指定すればよい。必ず指定しなければならない。 jtesm=0のときは、a.u.でz座標を指定し、 jtesm=1のときは、z方向のフーリエメッシュ の個数を実数で指定する。
z1esm, z2esm
電極表面の中心位置を原点にして計ったz座標を 指定する。 z1esmz2esmは、 z座標の+側の電極の座標、 -側の電極の座標である。 通常、z方向単位胞の半分程度とすれば よい。
vesmp, vesmm
必要な場合に、電極の電位を指定する。 vesmpvesmmは、 z座標の+側の電極電位 と-側の電極電位を示している。
eesmp, eesmm
必要な場合に、電極の電場を指定する。 eesmpeesmmは、 z座標の+側の電極電場 と-側の電極電場を示している。 電場は、z方向の微分で与えられる符号を 持つように指定する。


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Copyright (C), Tatsuki Oda (oda@cphys.s.kanazawa-u.ac.jp, Kanazawa University)