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5.2 カー・パリネロ(CP)分子動力学(MD)の実行

分子動力学を行うときには、原子系の速度ゼロからスタートする。 NBEG=-1から始めるようになっている。 このとき原子位置の座標は、入力ファイルcpv10.inから 読み込んだものを使う。 その後の計算では、NBEG=0または+1を用いると連続するステップ のMDを行うようになっている。NBEG=+1の場合は、ステップ数の 表示(NFI)を連続して増やしていくようになっている。 条件を変えずにMDを行っていく時は、通常NBEG=+1を用いる方が、 データの区別をするときに都合がよい。

原子を動くようにするMDの計算は、原子に働く力を計算する部分のフラグを
TFOR=.true.にすることで行うようになっている。MD を行なうために、スクリプトex_md.shが用意されている。

原子位置を最適化する場合は、その時の原子に働く力などを考慮して FRICE, FRICP, FRICHを用いてエネルギーを 基底状態に落して行く。あまり基底状態から離れていない原子位置の場合は、 FRICP,FRICHともにゼロとしてFRICEのみを用いて エネルギーを落して行くとよい。 CP法では、通常、原子系のエネルギーが波動関数の運動エネルギーに流れて 行くのでFRICEのみをゼロでない値にしておけばよい。 原子位置を最適化する場合、 原子の速度は、小さなエネルギー障壁を乗り越えるために重要であるので、 なるべく高いエネルギー障壁を乗り越えられるようにFRICPをゼロにして おくほうがよい。構造の最適化にはex_md.shを使用するとよい。

ブロッホ・パリネロ法[21]を用いて温度制御するときは、 TNOSEE,TNOSEPのフラグを同時に立てる。そのとき、それに関連 する入力変数も同時に設定しておく。 この部分の変数に関しては、節[*])で説明している。

MD計算では、いろいろな計算量が出力される。原子の各ステップの座標は、 ファイル(77)に出力される。ファイル(78)には、原子に働く力が出力される。 ただし、能勢変数の速度に関係する力は、含まれていない。速度は、座標の 変化から計算することができる。 ファイル(79)には、NSPIN=4のときに全磁気モーメントが出力される。 ファイル(80)には、各原子の半径(RATS(IS),入力ファイルcpv10.in 参照)の球内の電子数が出力される。NSPIN=2,4のときは、 磁気モーメントも出力される。 ファイル(17)には、20ステップ毎の原子座標データが、xyz書式で出力される。 ファイル(66)には、原子運動の温度、全エネルギーなどの情報が出力されている。


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Copyright (C), Tatsuki Oda (oda@cphys.s.kanazawa-u.ac.jp, Kanazawa University)