分子動力学を行うときには、原子系の速度ゼロからスタートする。
NBEG=-1
から始めるようになっている。
このとき原子位置の座標は、入力ファイルcpv10.in
から
読み込んだものを使う。
その後の計算では、NBEG=0
または+1
を用いると連続するステップ
のMDを行うようになっている。NBEG=+1
の場合は、ステップ数の
表示(NFI
)を連続して増やしていくようになっている。
条件を変えずにMDを行っていく時は、通常NBEG=+1
を用いる方が、
データの区別をするときに都合がよい。
原子を動くようにするMDの計算は、原子に働く力を計算する部分のフラグを
TFOR=.true.
にすることで行うようになっている。MD
を行なうために、スクリプトex_md.sh
が用意されている。
原子位置を最適化する場合は、その時の原子に働く力などを考慮して
FRICE
, FRICP
, FRICH
を用いてエネルギーを
基底状態に落して行く。あまり基底状態から離れていない原子位置の場合は、
FRICP
,FRICH
ともにゼロとしてFRICE
のみを用いて
エネルギーを落して行くとよい。
CP法では、通常、原子系のエネルギーが波動関数の運動エネルギーに流れて
行くのでFRICE
のみをゼロでない値にしておけばよい。
原子位置を最適化する場合、
原子の速度は、小さなエネルギー障壁を乗り越えるために重要であるので、
なるべく高いエネルギー障壁を乗り越えられるようにFRICP
をゼロにして
おくほうがよい。構造の最適化にはex_md.sh
を使用するとよい。
ブロッホ・パリネロ法[21]を用いて温度制御するときは、
TNOSEE
,TNOSEP
のフラグを同時に立てる。そのとき、それに関連
する入力変数も同時に設定しておく。
この部分の変数に関しては、節)で説明している。
MD計算では、いろいろな計算量が出力される。原子の各ステップの座標は、
ファイル(77)に出力される。ファイル(78)には、原子に働く力が出力される。
ただし、能勢変数の速度に関係する力は、含まれていない。速度は、座標の
変化から計算することができる。
ファイル(79)には、NSPIN
=4のときに全磁気モーメントが出力される。
ファイル(80)には、各原子の半径(RATS(IS)
,入力ファイルcpv10.in
参照)の球内の電子数が出力される。NSPIN
=2,4のときは、
磁気モーメントも出力される。
ファイル(17)には、20ステップ毎の原子座標データが、xyz書式で出力される。
ファイル(66)には、原子運動の温度、全エネルギーなどの情報が出力されている。