講義内容

講師  河村 雄行 先生 (東京工業大学) 
 タイトル  水・水溶液と鉱物等の表面・界面の分子動力学計算 −有効相互作用モデルから
内容   結晶の表面は局所であり、その詳細な構造と性質を実験観察から定量的に知ることは困難である。特に、大気や液体と接触しているそのまでの性質は観測困難である。一方で、摩擦や吸着などの現象の本質的な理解のためには、雰囲気のまま(真空ではなく)での「観察」が必要である。われわれは以前から、鉱物や無機材料物質のMD計算をおこなってきており、また水分子の分子モデルの開発をおこなってきた。この2つを組み合わせると、様々な結晶表面と水・水溶液の界面の計算が可能となる。濡れ性、電気2重層、拡散層など、界面の「観察」の方法と、そのために必要な原子間相互作用モデルの問題について解説する。



カオリンAl2(OH)4[Si2O5]7Å単位の層状構造をしており、表裏の構造が異なる。したがって濡れ性も異なる。このことと磁器原料としての関係は?

講師  杉田 有治 先生 (理化学研究所) 
 タイトル

膜タンパク質の分子動力学計算による機能の解析

内容 

膜タンパク質は生体膜を隔てた物質輸送やシグナル伝達などの生理的に重要な機能を果たすタンパク質である。従来、その構造決定は非常に困難であったが、近年、多くの膜タンパク質の立体構造が明らかになりつつある。しかし、膜タンパク質のダイナミクスや生体膜との相互作用など実験だけでは明らかにすることが困難な多くの課題があり、分子動力学計算は大きな期待を集めている。この講義では、膜タンパク質の構造解析に関する現状を紹介した上で、生体膜の構造とシミュレーション、膜タンパク質のシミュレーションとモデリングの結果に関して紹介する。



講師  西尾 憲吾 先生 (産業技術総合研究所)
 タイトル 計算機シミュレーションによる新奇Siナノ構造の探索とその物性評価
内容 

本講義では、ナノテクノロジー&ナノサイエンス分野における計算機シミュレーションの応用研究を紹介します。
1.
分子動力学シミュレーションによる新奇なSiナノ構造の探索

2.第一原理電子状態計算によるSiナノ構造の物性評価
3.ナノ細孔内でのLJガラスの安定化
4.氷クラスターの1ミリ秒分子動力学シミュレーション